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先月末の新聞報道で知ったことですが、横浜地裁が横浜市の市立保育所民営化手続きを違法とする判決を下しました。判決理由を要約すると、民営化によってさまざまな不利益をこうむる児童、保護者の疑問や不安を解消するだけの十分な説明もなしに、民営化を急いで実施したことが、児童福祉法が保障する「特定の保育所で保育を受ける法的権利」の侵害に当たる、ということのようです。 この判決理由をもってすれば、函南町が東部保育園を民営化するために取った手続きは違法です。函南町の行政は保護者への説明抜きで、東部保育園を廃止し、東部保育園が行ってきた保育を、民営の保育園に委託する決定をしました。その決定を知った保護者が、民営化による保育環境の急変が児童の心身に悪影響を与える懸念が大きいので、民営化を取消し、東部保育園を存続して欲しいと、町長への陳情や議会への請願を重ねておこないましたが、まったく相手にされませんでした。 行政側が東部保育園廃止の表向きの理由として用いているのは、園舎の耐震性が低くそのまま使い続けるのは危険だが、耐震補強工事や建替えに必要な財源がないということですが、実際には耐震診断を受ける前に、すでに特定の民間業者に保育事業を委託する内約ができていたと思われます。 多くの自治体が保育所の民営化を進めている背景には、公立保育所の運営に対する国の補助金がなくなり、一般財源化されたことがあります。減らされた補助金の額よりも代わりに与えられた一般財源の額が少ないので、民営化によって保育のコストを下げることを狙っているわけですが、函南町の東部保育園廃止、民営化は政府のそのような措置が出る前に決められていますので、いよいよ、特定の民間業者への利益誘導のためのものだと思われてきます。 横浜地裁の判決要旨によると、「児童福祉法24条は保護者に対して乳幼児にどの保育所で保育を受けさせるかを選択させる機会を与え、市町村はその選択を可能な限り尊重すべきであり、保育所を選択できる地位を保護者の法的利益として保障していると解釈するのが相当」とのことです。児童と保護者の権利や利益を無視して一方的に民営化を決めた函南町の手口は、まさにこのような法的利益を侵害しているとしか言いようがありません。 問題になった横浜市の保育所の民営化は2004年に実施済みなので、民営化を撤回せよとの請求は棄却されましたが、突然、民営化の計画を知らされて以来、反対しても認められず、行政への憤りや保育環境の悪化に対する心配や心痛を余儀なくされた保護者に、一世帯10万円を基準とする慰謝料の支払いが命じられました。 東部保育園の民営化は民営保育所の建設に対する国の補助金の給付が遅れたこともあって、当初の実施予定だった平成18年4月から19年4月にずれ込みました。もし保護者たちが今、函南町を相手取って訴訟を起こせば、東部保育園の廃止決定は保留あるいは撤回される可能性があるかもしれません。町議のとき、保護者の側に立って東部保育園の民営化手続きを不当とし、その存続を願って議会活動をした私としては、横浜地裁の判決を喜ぶとともに、保護者の告訴を待つまでもなく、行政が自発的に東部保育園民営化の見直しに着手すること、また議会が行政に対しそのような意見書を出すこと、を願いますが、函南町の町政のあり様を思うと、それは無理な望みかもしれません。保護者の皆さんがどのような動きに出るか注目しています。 |