政見、政治姿勢 バックナンバー.012


アメリカ由来の“イコールフッテイング

1)「イコールフッテイング”はどこから?」

「郵政民営化をめぐる国会での論議、あるいは、テレビ番組での政府、与党関係者の発言のなかで、“イコールフッテイング”というコトバがよく出てくるのを耳にされたことと思います。何でこんな耳慣れない横文字コトバが日本の郵政民営化をめぐるやり取りのなかで使われなければならないのか、疑問にも、不快にも思われた方が少なからずおいでのことと察します。

 会社に勤めて国際ビジネスに携わっていたころ、外国人との交渉の場で、“対等の立場で”とか“同じ条件に立って”という意味で私も“on an equal footing”という表現を用いることがありました。しかし、「民営化される郵貯会社、簡保会社と民間の銀行や保険会社との競争条件は全ての点において対等でなければならない。」ということを言うのに、“イコールフッテイング”という英語、しかも、日本人にとってあまり発音しやすくない英語を使う理由はどこにあるのでしょうか。

 このコトバを耳にした当初、これはアメリカかぶれの竹中郵政民営化担当大臣が使い出したのを皆がまねするようになったのだろうぐらいに想像し、それにしても、こんなところにもアメリカの属国まがいのわが国の実情が出ていると感じて不愉快でした。そのうち、ひょっとするとこれは正真正銘、アメリカ政府の郵政民営化に対する注文の中に使われている言葉ではないかとの疑いが生じました。


2)アメリカ大使館のホームページから通商代表部のウエッブサイトへ

 2001年に小泉さんが総理大臣になった後、ブッシュ大統領との間で「日米規制改革および競争政策イニシアテイブ」というものができ、それに基づいて相互に相手政府に「年次改革要望書」が出されていますが、思いついてアメリカ通商代表部のウエッブサイトから、昨年10月にアメリカ政府が日本政府に提出した「年次改革要望書」を取り出して読んでみました。


3)アメリカの要望に沿った郵政民営化案

 驚いたことに、その要望書のなかでアメリカが日本の郵政民営化について実に細かくいろいろな注文をつけていることが分かりました。小泉首相の靖国参拝に中国が異議を述べるのが内政干渉になるなら、このアメリカの注文は度を越した内政干渉といっていいでしょう。それはもっぱら、アメリカの保険会社、銀行にとってのビジネスチャンスと言う観点からの注文ですが、小泉郵政民営化法案はほとんどそれの焼き直しと言っていいくらいの内容なのを知って、腑に落ちるものがありました。


4)“equal footing”発見

 さて、“equal footing”ですが、アメリカの「年次改革要望書」の中に、まさに引用符入りで出てきます。引用符入りですから、誰かが、あるいはどこかで使われている言葉の引用であるかもしれませんが、要望書は「“equal footing”が保証されるには、民営化の条件としてかくかくしかじかのことが必ず実施されなければならない」と言って、具体的な条件をつけています。


5)郵政民営化は誰のため

 小泉首相が尽くすべき論議を尽くさぬまま、いろいろな問題点を指摘されている政府の郵政民営化法案を通すことに執念を燃やしている真の理由が理解できず、来るべき衆院選は郵政民営化を問う国民投票だと言われても、たわ言を聞く思いでしたが、これはイラク特措法や自衛隊のイラクへの派兵決定に共通する事情が背後にあるのかも知れないという、新たな視点を得ることができました。


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