政見、政治姿勢 バックナンバー.009


公金で株式投資! やっと打てた終止符

1)参議院総務委員会でも函南町が問題に

函南町の町長、収入役が町民や国民の税金を使って株や不動産投信を売買していた事件は、新聞社が今年の静岡県10大ニュースの候補に挙げるほど重大な意味を持つ出来事でした。3月の定例議会で私がこの問題を追求し、明らかになった事実が新聞やテレビで報道されて、静岡県函南町の名は全国的に知られるようになりましたが、このことは、3月24日に開かれた参議院の総務委員会でも取り上げられ、公明党の議員がこのようなことが地方自治体に許されるのかと質問しました。それを受けた総務省の自治行政局長は、これが地方自治法の規定に抵触する不当な公金運用だとの見解を示しました。この答弁の内容がただちに国の公式見解として静岡県庁に知らされ、3月25日には函南町にも伝えられました。


2)隠蔽された事実

しかし、この通知は行政執行部が秘匿して、議会だけでなく監査委員にさえ知らされませんでした。監査委員は町の公金が法や規則に従い適正に支出され、管理されているかを調べ、監督する責務を担っています。その責務を果たすために必須なのは、行政側が提示する会計上の嘘、偽りのない資料や情報です。行政側にとって不都合や不利があっても、資料や情報が隠し隔てなく提供されてはじめて監査委員は正しい監査ができます。今回、株式や不動産投資信託に使われたのは財政調整基金(自治体が緊急の財源不足に備えて積み立てておく預貯金)ですが、そのような公金の運用は違法かつ不当である、と国から知らされながら、それを監査委員に報告しなかった行政側の所業は、公正な監査に対する悪質な妨害です。

報告しなかった理由は明白です。株式や不動産投資信託に公金を投資したのは違法でないと言い張ってきた町長や収入役にとって、それが違法であるとの見解を、国の行政上の最高権威である総務省が明確にしたことは、逃げ場を失ったことになります。これほど自分達にとって具合の悪いことはありません。それでも、良心的で町民の利益や福祉に誠実に仕えることが自分達の使命だと弁えている町長や収入役なら、それが違法だと知らされた時点で自分たちの過誤を認め、自らそのことを公表して適切な身の処し方を示していたでしょう。残念ながら、函南町ではそのようなことは起きませんでした。


3)恥の上塗り

参議院での総務省の公式答弁によって、公金による株式、不動産投資信託など元本保証のない金融商品の投資は違法だと知らされたにも拘わらず、函南町長はご丁寧にも総務省に対し書状を出し、ほんとうに違法かどうかとの問い合わせを行っています。恥の上塗りとしか言いようがありませんが、総務省からは、当然ながら、違法であって認められないとの返事が来ました。しかし、そのことも町長側は秘密にして、議会にも監査委員にも報告しませんでした。このような事実が明るみに出たのは、7人の町民が起こした住民監査請求のおかげです。


4)住民監査請求の効力

住民監査請求は地方自治法で認められた住民の権利です。自分達が納めた税金が違法あるいは不当に使用された疑いがある場合に、自治体の監査委員に監査を請求し、不当行為があればその責任者に対する適切な措置を勧告してもらうためのものです。私は議会で、この度の町長や収入役の公金運用とその運用のために支払った売買手数料や消費税のための支出は、地方自治法や町の基金条例に違反する不当な行為であることを指摘しましたが、町長側は違法でない違法でないと言いつづけました。遺憾なことに、議会の大多数の議員たちも町長側の主張に同調して違法でないと言って憚りませんでした。そこで、違法であることを疑わず、それを公式に明らかにする必要を感じた、意識の高い町民数名が数百人の賛同者の署名を集め住民監査請求を実行したのです。そして監査が行われてはじめて、違法であるとの国の見解が数度に亘り町に知らされていたことが分かったのです。見識ある町民が監査請求を起こしていなかったら、町民も議会も、そして監査委員でさえもが行政執行部の欺きに気づかなかったことでしょう。


5)適正な監査結果と及び腰の議会の対応

違法であることを明確に示した国の見解をもとに、監査報告はこの度の函南町の公金運用を違法性が高く不当であったと述べ、してはならないことであると断じました。私はこの監査結果を受け、12月議会であらためて町長と収入役の責任を問う決議案を可決するよう他の議員に働きかけました。しかし、大多数の議員はあくまで町長は悪いことはしていない、町民の利益のためにやったことだと言い張り、私の決議案には賛成しませんでした。町長や収入役の責任ということは言わず、もっと穏やかな表現にした案なら賛成し、全会一致で決議してもよいという提案を受け、私もぎりぎりの譲歩をし、不本意ながら全会一致の意義を重んじて、可決された内容の決議案にまとめました。


6)住民自治に活路を!

3月議会に始まって12月議会まで、この全国に伝わった函南町の行政責任者による違法かつ不当な公金運用問題で騒然とした一年でしたが、何とか後難を排する形での決着を見たことには満足しています。この事件は、多くの函南町民の前に、函南町の行政の体質とそれに対する議会の監視、統制機能の頼りなさを露呈しました。このような事態を目の当りにして私が考えていることは、函南町における住民自治の力を高めて行く必要性です。

そのために、先ずは住民自治基本条例の制定に向かって研究会を作り上げたいと思っています。限られた財政力のなかで函南町を町民に開かれた、透明で公正な、優れた町政運営の町にする最大、最強の資産は町民の結集された知恵と力です。住民自治基本条例を検討するプロセスから、町民が自分達の権利と責任に基づいて自分達が納得できるまちづくりをするために必要な様々な要素が、はっきりと浮かび上がってくると思います。行政にしろ議会にしろ、納税者であり主権者である町民の信託を受け、町民との間で交わされた契約に定める権限と義務の制約の中で、行政府、立法府としての役割を果たして行く存在です。住民自治基本条例によってそのことを明確にし、真に民主的な自治体を函南町に作り上げることが私の願いです。


  議会で可決された議決文を以下に掲載します。

財政調整基金運用に関しての決議

町長並びに収入役が財政調整基金の運用のため不動産投資信託を購入し保有しているのは、地方自治法及び函南町基金条例に違反するので、直ちにそれを売却、清算し、違法かつ不当な運用を是正するよう求めて函南町民が提出した「函南町職員措置請求」の監査結果が公表された。
不動産投信は監査請求後清算され、是正済みであることを以って、請求は棄却されたが、不動産投資信託、株式など元本保証のない金融商品による基金の運用は、違法性が高く、妥当性を欠くこと、また、その売買手数料などを予算措置を講じずに支払ったのは地方自治法並びに函南町財務規則違反であることが改めて確認された。
また、町長及び収入役は、株式や不動産投資信託による基金の運用は違法であり、できないとする国の見解の通知を受けながら、議会で「違法でない。」との主張を繰り返し、監査委員にも報告していなかった。
このようなことから町長並びに収入役は、監査結果を真摯に受け止め、行った行為に対しての適切な自浄処分と適切な公金管理を行うよう議会として強く求め、ここに決議する。

平成16年12月14日

函南町議会


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