政見、政治姿勢 バックナンバー.003


■ 函南町水道行政の特異性 ■

この項は思いのほかに長くなってしまいました。
少しずつでも読み進んでいただければありがたく存じます。
函南町の町政の特質を示す一つの例として取り上げました。

-------------------------------------------------

1)上水道と簡易水道

函南町の町営水道は水道需要全体の85%をカバーする上水道と「畑、丹那簡易水道」、「田代、軽井沢、丹那地区簡易水道」、「東部簡易水道」、「パサデイナ簡易水道」という4つの簡易水道からなっています。簡易水道とは、水道法上の定義によると、加入者人口が5,000人未満の水道のことです。したがって、人口の少ない町や村では上水道がなく全体が簡易水道というところもあります。函南町の簡易水道事業は町の中心部から離れた中山間部に位置し、独自の水源を持った地域で起こったものですが、「東部簡易水道」、「パサデイナ簡易水道」の場合はもともとそこの宅地開発を行った民間業者が始めた水道が後に町営化され、今日に至っています。


2)上水道への一本化を阻んでいるのは

函南町では簡易水道を上水道に統合すべきだとの議論がかなり前からあって、平成9年に策定された第4次函南町総合計画でも平成19年までに統合することを基本方針としています。しかし、統合が実現する見通しは今のところありません。何故でしょうか。

「畑、丹那簡易水道」、「田代、軽井沢、丹那地区簡易水道」は水源が豊富で、大量の水を非常に安く使えます。上水道との統合でプラスになるものはなく、また、その他の条件から見ても統合の必要性、合理性はありません。いっぽう、「東部簡易水道」と「パサデイナ簡易水道」は逆に使用料が上水道の230%、240%もするので、利用者は強く統合を望んでいるにかかわらず、統合によって上水道会計が圧迫されるという理由で行政および議会が反対しています。


3)第4次函南町総合計画と現実の齟齬(食い違い)

ところで、簡易水道を上水道に統合することを基本方針として明記している第4次函南町総合計画は、行政の責任において作成され、議会が承認したものです。ですから、その実現に向けて必要な施策を講じるのは行政と議会の当然の責務です。ところが、総合計画策定から今日に至るまで7年の間、統合に向けて努力するどころか、統合に反対しそれを阻んでいるのが他ならぬ行政であり、議会であって、しかも反対の根本理由が、計画策定時にも実在した上水道と簡易水道の料金格差だというのは、いくら何でも筋が通りません。

もっとも、水道の統合計画に限らず函南町総合計画に書かれていることの大部分は、絵空事です。単なる作文です。地方自治法によって各自治体は長期的な事業計画、行政計画の作成を義務付けられているので、それを満たすためにコンサルタント企業か何かに丸投げして作らせた、実現の意図も現実的な施策も財政的な裏打ちも欠いた、飾りものの計画です。これには、函南町の町政の体質を示す一つの資料としての価値しかありません。ですから、そのような総合計画に基本方針として明記されていることを根拠に、行政や議会を責めても何の効果も生みません。


4)函南町の簡易水道は県下でも例外

では、「東部簡易水道」と「パサデイナ簡易水道」の水道料金が上水道料金の2.3倍、2.4倍もするのは何故でしょうか。実はここにも、函南町の町政の特異な体質が現れています。
「パサデイナ簡易水道」については別の機会に述べることにし、ここでは「東部簡易水道」の実情を記します。


5)「東部簡易水道」はダイヤランドから町に
  無償で寄付された

「東部簡易水道」の利用者はダイヤランドとエメラルドタウンに住む約2,500戸の住民です。うち約900戸の住民は函南町民で他は別荘の住人です。因みに、これらの人たちが函南町に納めている個人住民税と固定資産税の総額は町全体の納税額の11%から12%に相当します。前で触れたように、「東部簡易水道」はダイヤランドの開発業者が起こした水道事業で、昭和47年に無償で町に寄付され、その後は町営の簡易水道事業として町の水道課が管理、運営に当たっていますが、上水道に対してもパサデイナ簡易水道に対しても実施されている一般会計からの税による補助は「東部簡易水道」には全くなされていません


6)「東部簡易水道」料金の基にある
  原価の異常な構造

昭和47年に町に移管された「東部簡易水道」ですが、事業会計の赤字分は昭和53年までダイヤランドの開発業者が補填をしていました。昭和53年に料金の大幅引き上げが行われ、2ヶ月20m3までの使用量に対する基本料金が4,000円になりました。これは今も続いている料金ですが、これと前後して加入分担金も30万円になりました。使用料は上水道の2.3倍、分担金は上水道の2倍です。


7)駿豆水道と責任水量制

昭和53年が大きな節目になっていますが、これは柿田川の水を水道水として浄化、供給する県営の駿豆水道がフル稼動態勢に入り、「東部簡易水道」の水源が100%駿豆水道の浄水に切り替わったためです。函南町は上水道の一部と「東部簡易水道」に駿豆水道から来る柿田川の水を配水することにしましたが、その際、駿豆水道との間で一日当たり1万m3を責任水量として引き受け、実際にそれだけの量を使用するしないにかかわらず、1万m3分の受水料を1m3当たり56円で支払うことにしました。そして、その受水料総額の35%を「東部簡易水道」の負担とすることに決めました。これを量で見ると、当時の「東部簡易水道」利用者全体の使用量の約10倍に相当します

つまり、「東部簡易水道」の新料金を設定するに当たり、実使用量の10倍に相当する水のコストを原価として利用者に課したのです。これが、上水道の2.3倍もする使用料の出発点であり、基本的な理由です。当時は「東部簡易水道」の利用者は別荘族が多く、函南町民の定住家族が少なかったため、このような不平等を行政も議会もさほど気にかけなかったのかもしれません。


8)独立採算制という異例の政策

責任水量の過剰な負担の他に、「東部簡易水道」の使用料、加入分担金を異常に高くしている要因として独立採算制があります。「東部簡易水道」の事業運営に要する費用は設備費や工事費、維持管理費、電気代などすべて利用者が支払う使用料と加入分担金で賄う、というものです。一般的に簡易水道は加入者が少ないため、その事業運営に要するあらゆる費用を加入者だけで負担するには無理があります。敢えてそれをやろうとすると、使用料や加入分担金が非常に高くなります。ですから、静岡県でも簡易水道に独立採算制を当てはめている市町村はほとんどありません。料金は上水道と同列にし、支出が収入を上回れば一般会計から、つまり税金で、補填しています。函南町の簡易水道に関わる政策はきわめて稀で、特異なものです


9)漏水までが利用者責任という非合理性

独立採算制を当てはめ、しかも実使用量の数倍の責任水量を課してコストが異常かつ不当に高くなる政策が採られているのですから、「東部簡易水道」の利用者が行政から不当に差別されていると感じるのは当然です。しかも、不当に課せられているコストがそれ以外にもあります。漏水分の受水費です

水道課の資料によるとダイヤランドの中では配水管、送水管からの漏水が配水量全体の60%にもなるそうですが、利用者はこの漏水分の水道料も払わされています。しかし、漏水を管理し漏水個所の補修を行って水道の収率を高く維持する責任は事業主たる町にあります。そもそも、ダイヤランド内にある「東部簡易水道」の配水管や送水管の全ては町の所有物です。そこからの漏水がなぜ利用者の責任であり、利用者が負担すべきコストなのでしょうか。
こんな理不尽なことが実際に行われているのです。そんなコストまでが独立採算制の下で利用者負担になっているのですから、「東部簡易水道」の利用者は浮かばれません。


10)責任水量制の廃止でも
  「東部簡易水道」料金は据え置き

実は、駿豆水道が採っていた責任水量制は平成14年の3月に廃止され、函南町が駿豆水道に支払う受水費は1日当たり1万m3に対して1m3当たり30円の基本料と、実使用量に対する
1m3当たり17円の使用料となりました。この改定によって函南町が駿豆水道に支払う受水費は年間1,200万円ほど減りましたが、「東部簡易水道」の使用料は据え置かれています
この新しい制度に切り替わった後でも、「東部簡易水道」に課せられている基本料の割り当ては実使用量の4.5倍分です。


11)行政と議会の反応

たとえ独立採算制であっても、実使用量に準じた原価に改められれば、「東部簡易水道」の使用料は現行の1m3、200円から114円ぐらいに引き下げ可能ですが、「東部簡易水道」利用者が1,618名の署名を添えて料金是正を訴えた議会への請願も町長への陳情も退けられてしまいました。理由は、上水道と統合すれば上水道会計を圧迫し、現在の上水道利用者に是認してもらえない、統合しない場合は一般会計から税による補填が必要になるので認められない、というものです


12)一議員としての姿勢

私自身、ダイヤランドに住む「東部簡易水道」の利用者ですが、その水道使用料、加入分担金が合理的な理由で高いのであれば、引き下げを求める人に組しません。しかし、以上に述べて来たように、今の使用料、加入分担金は政策的に歪められた原価構造の下での、非合理的で差別的なものだとの認識を多くの利用者と共有しています。つまり、これは行政の間違いであり、是正措置がとられて当然の問題だと考えます。それゆえ、上水道を利用している皆さんにもご理解をいただきながら、是正の実現のために行政への働きかけを続けることが、一議員としての責務だと思っています。


★バックナンバー

001 002 004 005 006 007 008 009 010

011 012 013 014 015 016 017 018 019 020


◆連絡先  千石貞幸 後援会

町民の皆さまからの声はこちらのアドレスへお願いします↓

haven@sengokuship.com

※ブラウザの「戻る」をクリックして前の画面に戻ってください。