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![]() 富士山静岡空港の開港に向けて問われること 富士山静岡空港の開港まで1年半となりました。もともとの開港予定は平成18年の春でしたから3年の遅れとなります。遅れたのは、空港用地の買収が一部地権者の反対によって長引き、最終的に強制収用という手段を講じざるを得ないところまでこじれたためです。今年の2月、空港建設に抗議して県庁前で焼身自殺をした方がいましたが、強制収用が断行され用地買収が完了したのはそのしばらくあとのことでした。今は滑走路はじめ空港本体の工事が急ピッチで進んでいます。ターミナルビルの建設も間もなく始まります。 県会議員になる前の私は、一県民として空港建設には反対の立場に立っていましたし、ここまで既成事実が積み上がってしまった今でも、その必要性には大きな疑問をもっています。県議になって、必要性を唱えるいろいろな方のいろいろな言い分に接しても、私の疑問は消えませんが、空港ができ開港に至るのは決定的なことであってみれば、私の関心は開港後のことに移らざるをえません。 私の最大の関心は、富士山静岡空港の開港が県の財政に与える影響の度合いがどれほどのものになるかという点にあります。富士山静岡空港が黒字になる可能性が低いことは、日本の地方空港のほとんどが赤字であることから容易に類推されます。空港事業の収入のおよそ80%は着陸料や停留料からなる空港使用料ですが、当然のことながら空港使用料収入は就航する路線の数、さらには便数に左右されます。着陸する、あるいは停留する航空機が多い空港ほど収入は大きくなります。また着陸料は機体の大きさ、重量によっても違い、大型機が飛ぶ航路、便数が多ければそれだけ収入は増えます。富士山静岡空港の場合、これまでに就航を表明しているのは韓国アジアナ航空がソウル便を一日一便、全日空が新千歳、那覇便を一日一便だけで、新千歳、那覇、福岡、鹿児島便の就航に県が期待をかけている日航は全日空との競合が障害となって就航を敬遠する可能性があります。今の日航の経営状態では黒字が確実視される路線でなければ新規就航に二の足を踏むのは当然です。県は中国、台湾、香港、タイなどのアジア諸国に狙いを定めて路線開拓に励もうとしていますが、開港までの一年半弱の間にどれだけの路線、便数が確保できるかが大きな課題です。 今の段階で、県は国内線利用者106万人、国際線利用者32万人の年間需要を見込んでいますが、これを達成するには国内線に限って言っても、一日2,900人の利用者が必要です。富士山静岡空港を利用するのは中、小型機で定員は平均200人程度、仮に搭乗率を大き目めに取って70%とし一便当たりの乗客数を140人とすると、一日に必要な便数は少なくとも20便となります。どう見てもこれは達成不可能な数字に思われます。知事は今となっても需要見通しを変える必要はないと強弁するかたわら、今さら需要見通しの議論をしても意味がない、いま必要なのはできるだけ多くの路線と便数を確保するための関係者挙げての努力だと言っています。暗黙裡に需要見通しの達成は困難だと認めていることが窺われます。 問題は、できるだけ多くの路線と便数を確保するための手段や方策が、県の財政収入を減らし、支出を増やす方向に進むことです。たとえば収入減につながるものとしては空港使用料の減免があります。これは地方空港の多くが実施していて赤字の最大要因になっていますが、富士山静岡空港にも適用されることは必至です。支出増につながるものとしては、就航の条件として便毎に所定の搭乗率を決め、それに満たない場合は不足分を県が航空会社に金銭補償するという仕組みがあります。また、今のところ表には出てきていませんが、民間企業が建設し運営するターミナルビル事業に対する各種財政支援の可能性もあります。建設資金の一部を県がその調達に要した金利よりも安い金利で融資する場合などがそれに当たります。 要は、少しでも多くの路線、便数を確保することが最優先され、そのためにはどんなコストを払うことも辞さないというのが、今の県の姿勢だと言えます。就航する路線、便数が少なければ勿論、たとえそれが増えたとしても、そのために多額の財政支出を伴うとすれば、空港事業が県民に大きな負担を強いることは否定できません。その負担がどれくらいになるのか、県にはある程度の見通しがあるはずであり、県はそれを県民に知らせる当然の責任を負っています。 |
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