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県政報告

高次脳機能障害という新たな福祉問題

■ 高次脳機能障害とは

8月に行われた県議会厚生委員会の視察の一環で、高次脳機能障害と呼ばれる障害をもった方々とその家族の集まりに参加し、はじめて高次脳機能障害とはどんな障害なのか、初歩的な知識を得ました。交通事故等による脳外傷、脳出血などの脳血管障害、一酸化炭素中毒等による低酸素脳症によって大脳の前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉が損なわれ、記憶、認知、感情、言語を支配する脳の高次機能が麻痺して起こる障害が高次脳機能障害です。たとえば、集中力がなくなる注意障害、言葉を理解し表現することができなくなる失語症、新しいことが憶えられない記憶障害、感情の抑制がきかない脱抑制障害、物事を計画したり実行したりできない遂行機能障害、あるいは自分が病気だとは認識できない病識欠如など、様々な障害があります。脳の損傷の部位や程度によって障害の現れ方は様々ですが、多くの障害を複合的に抱えている障害者もいて、当人はもとより家族の方々の苦しみは想像を絶します。

■ 少ない専門医療施設

高次脳機能障害をもった方は外見的には普通の人と変わらないため、医療現場でも障害者と診断されず、障害者に与えられる福祉サービスを受けられないケースも少なくないようですが、何よりも正しい診断と治療のできる医療機関そのものが身近にはないのが問題のようです。上段で挙げたような障害をかかえた人を色々な交通手段を使って遠くまで治療に通わせるのはたいへんですし、引率する家族の苦労も並大抵ではありません。感情のコントロールができず突然大声を出したり、暴力的な行動に出たりするのがこの障害をもったひとの特徴の一つですが、居合わせた人々がそれを病気の発現とは理解できずに起こす反応への対処なども含め、この障害の辛さはいかほどか察するに余りあります。

■ 低い認識度

高次脳機能障害に苦しむ障害者の数は全国で30万人を超え、また交通事故などを主原因とする新たな障害者も毎年1万人単位で増えていると聞きます。今は健康なわたくし達もいつ何時事故におそわれ、この障害に陥るかわかりません。しかし、この障害に対する世間の理解や認知の程度は低く、医療を含め障害者に対する適切な対応という面でも改善の余地が大きいと思われます。行政面からの支援も不十分です。全国の都道府県でこの障害の対策に取り組むために財政措置を講じているところは数えるほどしかありません。静岡県では平成17年度から国の補助を得て予算を組み、相談を主とする支援事業を立ち上げていますが、今年度の予算規模は1,000万円少々に過ぎません。この障害に陥った人が少しでも多く自立や社会参加が可能になるように、政治が担うべき課題や役割はなにか、これから考えて行こうと思います。

 


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