一昨日(3月9日)をもって、6月定例議会は終了しました。この日は17の知事提出議案に対する議決が行われました。私はそのうち空港施設の維持管理を指定管理者制によって富士山静岡空港株式会社に委託することに関する議案に反対し、反対討論をいたしました。
富士山静岡空港株式会社は空港ターミナルビルの建設、運営を目的として設立された会社で、スズキ、鈴与、静岡銀行、静岡鉄道, ヤマハなど12の民間会社が株主です。この会社に対し県は、30億円を破格に有利な条件で融資するなど、何かと便益を与えていますが、
今度の指定管理者に指定するとの決定も、競争を排除して行ったものです。
以下に私の反対討論の全文を掲載します。
私は知事提出議案のうち第103号議案「公の施設の指定管理者の指定について(静岡空港)」に反対いたします。
この議案には大きく言って三つの問題点があります。
第一の問題点は、富士山静岡空港株式会社を指定管理者の候補者に決定した手続きが条例に違反している疑いです。
「静岡空港の設置、管理及び使用料に関する条例」は第23条で、空港の指定管理者の指定は、それを行おうとするものの申請により行うものと定め、そして第24条では二つの基準を設けて、そのいずれをもクリアーする申請者のうちからもっとも適切に空港の管理を行うことができると認められるものを候補者として選定するとしています。申請者がクリアーしなければならない二つの基準とは、1)申請時に提出する事業計画書の内容が、空港の効用を最大限に発揮でき、かつ管理に係る経費の縮減を図ることができるものであること、2)事業計画書に沿った管理を安定して行う能力を有していること、というものです。
条例第24条の規定は明らかに、指定管理者の候補者は複数の申請者のうちからもっとも適切と認められるものを選ぶとしています。つまり、複数の申請者の存在を選定のための与件としています。しかし県は、富士山静岡空港株式会社を指定管理者の候補者と決定するに当たって、複数の申請者を募る手続きを一切とらず、競合する可能性のある事業者を一切申請から排除しました。これは疑いなく条例の規定に反します。
また、“もっとも適切に”という、比較級の最上級が当てはまるのは言うまでもなく比較が成立した場合に限ります。比較ができないように意図的に比較の対象を排除したことは、富士山静岡空港株式会社がもっとも適切な指定管理者候補であると言える可能性をも奪ったことになります。いずれにせよ、同社を指定管理者の候補者とすることは、条例の規定にてらし、認められません。
第二の問題点は、富士山静岡空港株式会社そのものの評価です。
富士山静岡空港株式会社は、空港ターミナルビルの賃貸を本業とする会社だと承知していますが、ターミナルビルそのものが完成しておらず、現段階で会社としての事業運営能力、あるいは信頼性を云々することはできません。まして、空港基本施設の管理を行うために必要不可欠な経験、知識、技能、資格を備えたスタッフが揃っていない現状において、同社が空港の管理を安定的に、適切に行えるかどうかを判断する材料は全く不足しています。たとえ同社が提出した事業計画書の内容が条例第24条の二つの基準をクリアーするものであったとしても、それは現在の同社の実態からして、経験的、実証的な裏付けのない、単なる願望表明、あるいは決意表明に過ぎないはずです。そのような事業計画書に基づいて同社の空港管理能力を測ることはできません。もしそれができる人がいたら、その人も願望あるいは決意にもとづいて判断しているのでありましょう。あるいは、公正とか県民の利益とは別の基準を用いているに違いありません。いずれにせよ、富士山静岡空港株式会社を空港の指定管理者として最適であると評価するのは非現実的です。
最後の、しかし議員の立場からはもっとも強調すべき問題点を述べます。
言うまでもなく、指定管理者の決定は議会の議決にかかっています。しかるに、平成18年2月に設立された富士山静岡空港株式会社の会社概要には、設立当初から、主な業務のひとつとして「県が整備する空港基本施設の維持管理受託業務」が、あたかも既定のことのように書かれています。これはとんでもないことです。どうしてこんなことがまかり通るのでしょうか。それは同社を空港の指定管理者に指定することが同社の設立当時から県と同社の間で約束されていたからに他なりません。そんな約束ができるのは、県が決めた事を、県の意向に逆らって議会が否決することは決してないという県側の確固たる自信と、それを疑わずに受け入れる富士山静岡空港株式会社側の県に対する絶大なる信頼あってのことと、認めざるを得ません。裏返せば、両者からそれほどに県議会が見くびられ、軽んじられていることになります。いずれにしても議会の議決の前に公然と既成事実化しているような富士山静岡空港株式会社の指定管理者の指定を議会が認めることは、議会自らがその存在意義を否定するに等しく、決してあってはならないことです。
これで私の討論を終わりますが、同僚議員の皆さんがその内容をよく吟味され、理解されて、議案103号の反対に回られることを心から願っています。ご静聴ありがとうございました。